【山本洋一・株式会社政策工房 客員研究員】

 地方議員の不祥事にうんざりしている国民は多い。不適切野次に始まり、号泣記者会見、危険ドラッグの常用と、連日にわたって信じがたい問題行為が報道されている。「地方議会などそんなものだ」と達観していた私だが、さすがにこのニュースには驚いた。

 

 「不適切発言、指摘の議員に矛先」――。中日新聞が24日付朝刊に掲載したこの記事は、愛知県新城(しんしろ)市議が、議会で「穴の開いたコンドームを配っては」と発言した問題の続報。市議会が23日に全員協議会を開き、対応を巡って協議したというものだ。

 批判を受けて当該議員が謝罪、不適切発言を慎むよう申し合わせて終わらせるというのが普通の流れだろう。しかし、新城市議会は違った。問題発言をブログで取り上げた別の市議を問題視。議員の情報発信を制限するルールを作ると決めた、というのだ。

 

 問題発言は、無所属の永田共永市議が6月の一般質問で、少子化対策として「婚姻届けを出す夫婦に、穴の開いたコンドームを配ってはどうか」と述べたもの。

 当時は注目されなかったが、今月14日に共産党の浅尾洋平市議がブログで取り上げたことがきっかけで「地方議員の不祥事シリーズ」の一環として報道された。議会での公式発言とはいえ、浅尾氏が取り上げなければ市民に気づかれなかった可能性が高い。

 ところが23日の協議会では、ある市議が「議会で問題提起する前に、自らの主観を表に出すのはいかがなものか」とか「個人名を挙げるなら相手に通告するなど配慮すべきだ」と批判。他の市議も同調し、ブログやツイッターなどで発信する際のルールを設けることを賛成多数で決めた。

 

 首長はともかく、議員が自らの主観を表明することの何が悪いというのか。議会の前に自らの考えを説明し、質問に市民の声を反映させるのは議員の重要な職務である。公人である議員を批判するのに、事前通告しろというのもおかしな話だ。もしそれが事実ならば、首相官邸や民主党本部はパニック状態に陥るに違いない。

 そもそも問題となった発言は批判されて当然である。穴開きコンドームの配布が本気で少子化対策になると考えたのならば、明らかに議員としての資質に欠ける。厳正な本会議で受け狙いの冗談を言ったのならば議会人としての品位、人間としての品格が疑われる。

 議員辞職という類いの話ではないにせよ、市民の批判にどう応えるか、議会は真剣に向き合うべきだ。問題の焦点をすり替え、発言を明らかにした議員を糾弾している場合ではない。ましてや議会の透明化を逆行させるべきではない。

 

 総務省によると、地方議員の数は全国で34476人(定数ベース)。「そんなにたくさん要らない」という声は今後、さらに高まるだろう。抜本的な定数削減に取り組むか、さもなければ「議員がいてよかった」と市民に思わせるような仕事をして、存在意義を証明しなければならない。