政策工房 Public Policy Review

霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!

カテゴリ: 政策レポート

今回は、主要争点である経済政策(当面の景気対策、経済再生・成長戦略)について、各党が掲げる選挙公約にもとづき整理してみる。

 

※主要9政党のうち、擁立した候補者数が全議席1割以上の6政党に絞って比較する。

自民党「景気回復、この道しかない。」  

公明党「いまこそ、軽減税率実現へ。」 

民主党「今こそ、流れを変える時。」

維新の党「身を切る改革。実のある改革。」

次世代の党「次世代が希望を持てる日本を」

共産党「暴走ストップ! 政治を変える」

 

1)当面の景気対策

自民党

燃油高騰や米価下落などに配慮した経済対策

○エネルギー価格の高止まりなどの物価動向や米価下落、消費に関する地域の実情に配慮のうえ、速やかに具体的措置を講じて断行(省エネルギー投資への支援、コスト増加分の適正な価格転嫁など)

○燃油価格など上昇分の補填金交付などの燃油価格高騰緊急対策を着実に推進

(農林水産業や運送業など燃料依存度の高い分野への支援、価格低下などによる収入減少時のセーフティネットとして収入保険制度の導入を検討など)

○住宅ローン減税・給付の継続、住宅金融支援機構の金利引下げ、住宅エコポイント制度の創設など

                           など

公明党

経済の好循環に向けて、家計支援を中心に個人消費回復・投資喚起を促す緊急経済対策

○企業収益を雇用拡大・賃金上昇につなげ、成長の果実を家計・地方・中小企業へ波及させる措置

○簡素な給付措置の対象拡大などによる中低所得世帯への支援

住宅ローン金利引き下げ、住宅エコポイント復活などの住宅取得支援

○自動車に係るグリーン税制などの見直し

○寒冷地・過疎地・社会福祉施設・病院などへの灯油・ガソリン購入補助といった自治体の自主的取り組みへの支援(特別交付税措置など)

○農林水産業、運送業、中小・小規模事業者など、燃料依存度の高い分野への支援強化

(燃油価格などの上昇分の補填金を交付するセーフティネット、高速道路の大口・多頻度割引の継続、サーチャージの導入・普及拡大、価格転嫁など適正な取引の推進など)

○省エネ・再エネ拡大に向けた対策強化

○中小企業・小規模事業者への資金繰り支援(セーフティネット貸付・保証などの拡充、災害時の信用保証運用の柔軟化など)

                           など

民主党

○円安対策・燃料(ガソリン・軽油・灯油)価格高騰対策

(生活者・中小企業・農林水産業者を対象に補助金交付など)

維新の党

脱・公共事業バラマキの経済対策

○エコ住宅減税の拡充

○円安対策:ガソリン税減税など

○低所得世帯に教育バウチャー支給

○結婚資金や子育て資金を対象とした贈与税の非課税制度の創設

○福祉分野の低賃金対策:期間限定で雇用増の場合の処遇改善交付金を予算措置

○地産地消の自然エネルギー供給・コジェネレーションの先駆的なスマートコミュニティ整備事業を推進

○必要な人に必要な額の生活支援

など

次世代の党

共産党

○米価への緊急対策を実施

                                            (表作成:政策工房)


 

2)経済再生・成長戦略

自民党

日本再興戦略の確実な実行で、本格的な成長軌道に乗せ、雇用や所得の増加を伴う経済好循環のさらなる拡大と全国への波及

○法人税改革:恒久財源を確保のうえで、来年度から数年で法人実効税率を20%台まで引き下げ(中小企業・小規模事業者に配慮)

○民需主導の成長に向けた環境整備。2年間で岩盤規制(農業・雇用・医療・エネルギーなど)打破。国家戦略特区の更なる制度拡充

○不動産市場を支える制度面の整備、不動産市場の活性化や投資の喚起、中古住宅市場・リフォーム産業の活性化

○コーポレートガバナンスの強化

○アジアナンバーワンの金融・資本市場の構築

○経済成長と暮らしの安心に資する成長マネー・セーフティネットマネーの供給のあり方について早急に結論を出し必要な対応を実施

○産業の新陳代謝とベンチャー加速化の障害を取り除く総合対策

○研究開発の抜本的な充実、人材育成、産学官連携・マッチング機能の強化、研究開発法人制度の創設・機能強化など

○観光立国・クールジャパン戦略、IRなど推進による観光産業活性化

○国土強靭化の推進

 (事前防災・減災、老朽化対策、インフラの耐震化、災害に強いまちづくり、消防団を中核とした地域防災力の充実・強化など)

○整備新幹線・リニア中央新幹線を含む高速鉄道体系の形成、国際コンテナ戦略港湾などの整備、羽田・成田両空港の機能強化、交通ネットワーク・サービス整備や次世代自動車導入拡大に向けた環境整備など

○地方が主役の地方創生

(地方分権改革の推進と多様な大都市制度導入の検討、地域間の財政力格差是正、自由度の高い地方創生交付金を創設、地域商品券の発行、情報通信技術の利活用推進、地方への企業誘致、コンパクトシティ形成・道路網整備・地域の公共交通網の再構築など)

○地方創生を規制改革で実現。地方創生特区の早期指定で地域の新規産業・雇用を創出

○地域の資源・特性を活かした農林水産業の活性化、ふるさと名物の販売促進・地域産品の販路開拓、観光や都市農村交流の拡大など

○地域経済を支える建設業・運輸業・造船業などの経営基盤強化。地域の中小企業に対する総合的支援

○農商工連携・地産地消・6次産業化などで農林水産業の成長産業化、米生産コストの低減、安定的な取引拡大などで農業・農村の所得倍増、ロボットやコンピュータ技術など最先端技術の活用、農畜産物・食品の高付加価値化など
                          など

公明党

デフレ脱却・経済再生、持続的経済成長のための成長戦略を断行

○エネルギー・環境分野の育成

 (再生可能エネルギーの最大限導入、水素社会実現に向けた関連インフラの整備・技術開発、電力産業・市場の活性化、地域主導の自立・分散型低炭素エネルギー社会への変革など)

○健康・医療・介護分野の育成

 (日本医療研究開発機構を司令塔に革新的な医療技術の研究開発・実用化を加速、ICT活用や予防サービスの充実、ロボット介護機器の開発・普及を促進など)

○攻めの姿勢で農林水産業の再生・成長

(品目別・国別の輸出戦略の実行、6次産業化など高付加価値化、多面的機能維持への直接支払いの実施、収入変動に対応した収入保険制度の導入、農地集積・生産基盤の整備・保全など)

○畜産・酪農の産業競争力強化、水産業の体質強化、林業の成長産業化

○ロボット産業の振興に向けたアクションプランの策定、実用化で障壁となる規制緩和・標準化などを推進

○地方創生で将来にわたって活気ある温かな地域を維持

 (地方創生長期ビジョン・総合戦略の策定・実施、地域雇用の確保、国の行政機関の機能移転、税財政措置で地方への民間企業本社移転を促進、コンパクトシティの形成・地域公共交通網の再構築など)

○エネルギー・環境、健康・医療・介護の担い手としての中小企業支援

(大学・公設試験場などのネットワークを通じた研究開発促進、ものづくり・商業・サービス補助金、地域資源のブランド化推進など)

○中小企業の事業承継支援

 (事業引き継ぎセンターによる後継者不在の企業と創業希望者などのマッチング、個人事業主の事業用資産に対する贈与税・相続税の負担軽減、小規模企業共済の機能強化など)

民主党

グリーン、ライフ、農林水産業、中小企業に政策資源を集中する「未来につながる成長戦略」の実行。「厚く、豊かな中間層」復活、地域経済再生の経済政策で持続的成長を

○子育て支援・雇用安定・老後の安心など「生活の不安を希望に変える人への投資」により可処分所得をアップ

○法人実効税率は、適切な代替財源を確保のうえで引き下げ

(外形標準課税拡大、中小法人軽減税率見直し、研究開発税制圧縮、受取配当益金不算入割合縮小などは反対)

○一括交付金の創設、自治体への権限・財源移譲を推進する国・地方関係抜本改革推進法の制定。地域の発想にもとづく規制改革、各種手続きの簡素化を断行

○研究基盤を整備し、再生医療、バイオ、ICTのイノベーションの推進。海洋・宇宙の開発・利用を推進

(研究大学の増強、国際的研究拠点の充実、研究者処遇改善など)

○起業・創業・育成支援の体制強化、海外展開支援など地域産業活性化・中小企業支援を中小企業担当大臣の下で一元的推進。第三者保証の禁止・中小企業支援税制の充実などの環境整備

○再生可能エネルギーの導入・地産地消の推進・地域の中小企業支援で、地域活性化・雇用創出。分散型エネルギー推進基本法の制定。省エネルギー技術の飛躍的普及など

○ライフ産業の基盤強化

(研究予算の増額・一体的運用、臨床研究拠点拡充や医薬品医療機器総合機構の機能強化などで医薬品・医療機器の審査の迅速化)

○成長戦略の中核に情報通信(ICT)を位置付け、地域での暮らしや防災・減災を含めた先進的展開を推進

○農業者戸別所得補償制度の法制化・6次産業化・地産地消の促進などの農林水産業振興策の推進で、農家所得の安定向上や新規就農者を増加。畜産・酪農所得補償制度の導入を検討

○国産材の利用促進(路網整備や森林施業集約化など)、漁業経営の安定化(漁業者所得補償制度や省エネ・省コストな漁船導入支援など)

○コンパクトシティの形成、中古住宅のリフォーム推進・流通活性化

                           など

維新の党

稼げる国へ、徹底した競争政策

○全産業で「バウチャー、消費者優先」「新規参入規制の撤廃・緩和」「破綻処理制度の整備、市場入退出と再挑戦を可能に」の競争政策を徹底

○医療・福祉の成長産業化

 (ビックデータ活用で医療標準化、診療報酬点数の決定を市場に委ねる制度、混合診療の解禁、株式会社の参入促進、医師以外の民間経営者による病院経営ができるよう規制改革)

○農業の成長産業化、農協改革・競争原理の導入・農地法改正

 (減反廃止とコメ輸出の推進・個別所得補償の対象を主業農家に限定、JA全農を地域別に株式会社化、株式会社の土地保有で新規参入促進、ゾーニング・転用規制で農地維持、農業委員会制度改革など)

○官制インフラビジネスを開放、それに必要な包括的な法整備

 (上下水道の民間開放、電力・ガスなどとも一体化した総合インフラ事業の展開推進、地下鉄・バス民営化で運賃引き下げ、地方公共企業民営化に係る議会議決要件の緩和など)

○通信市場の開放

 (NTT完全民営化・インフラとサービスの資本分離、周波数オークション導入・電波法改正、電波料金引き下げなど)

○観光・文化を新しい稼ぎ頭に

 (シンガポール型統合リゾートを実現する法整備、空家・空室を活用した都市型民宿を可能にする規制改革、地方空港の選択と集中・国際ハブ空港の機能強化・空港民営化の推進など)

次世代の党

道州ブロック単位での規制改革・既得権益打破、地域特性を活かした成長戦略の断行

○農業、医療・福祉、エネルギーなど岩盤規制を打破して新規参入促進(新規創業支援制度の拡充など)

○国民の健康・安全を確保しつつ、自由かつ公正な市場を守るために必要最小限度の規制・ルールへの転換

(行為規制型に転換、行政機関に裁量的な規制権限を付与する法律に一定期間経過後の廃止・見直し条項を盛り込むなど)

○公正かつ効率的に生産要素を割り振る資本市場・労働市場などの構築、再チャレンジ可能なセーフティネットの整備

○徹底した競争政策「補助金からバウチャーへ」「新規参入規制の撤廃」「個人保証を原則不要とするなど破綻処理制度・法整備」など

○国益を踏まえた自由貿易圏の拡大

○基軸通貨へのターゲティングゾーン制の採用を含む資本規制の導入

○農業を国際競争力のある魅力的な成長産業に

                           など

共産党

格差拡大のアベノミクスの暴走ストップ―暮らし第一への転換で経済を立て直す

○大企業に応分負担を求める税制改革

(法人税率引き下げに反対。研究開発減税・連結納税制度、受取配当益金不算入制度・海外子会社配当益金不算入制度など、大企業優遇の税制を廃止または大幅縮小)

○大企業の内部留保一部を活用し、国民の所得を増やす経済改革

(内部留保の一部を活用して、大幅賃上げと安定した雇用を増加、中小企業への単価引き上げの実施など)

○中小企業を日本経済の根幹と位置づけ、中小企業全体を視野に入れた振興・支援策に転換・強化

(中小企業への増税となる外形標準課税の適用拡大は反対。国の中小企業予算を1 兆円に増額し、技術開発・販路拡大・後継者育成、円滑な中小企業金融など)

○TPP交渉から直ちに撤退し、農林水産業を再生

(農業を国の基幹産業として位置づけ、価格保障・所得補償を抜本的に強化など)

                          など

                                           (表作成:政策工房)

 
 今週2日、衆議院総選挙が公示され、選挙戦に突入した。選挙は、14日の投開票までの12日間、475議席(小選挙区295議席、比例代表11ブロック・180議席)をめぐって、与野党がしのぎを削る。

 

総選挙では、アベノミクスの継続是非、集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法制、原発再稼働・エネルギー政策などが主要争点として浮上している。

選挙期間中、各党の選挙公約をもとに、主要争点で各党が掲げる政策について数回にわたり紹介していく。

 

今回は、安倍総理が国民の信を問うべきと位置付ける「消費税」と「財政再建」について整理してみる。

 

※主要9政党のうち、擁立した候補者数が全議席1割以上の6政党に絞って比較する。

■自民党「景気回復、この道しかない。」(候補者352人)

  https://special.jimin.jp/political_promise/bank/index.html

■公明党「いまこそ、軽減税率実現へ。」(同51人)

  http://www.komei.or.jp/campaign/shuin2014/manifesto/manifesto2014.pdf

■民主党「今こそ、流れを変える時。」(同198人)

 http://www.dpj.or.jp/global/downloads/manifesto2014.pdf

■維新の党「身を切る改革。実のある改革。」(同84人)

 https://ishinnotoh.jp/election/shugiin/201412/pdf/manifest.pdf

■次世代の党「次世代が希望を持てる日本を」(同48人)

  http://jisedai.jp/news/20141122.html

■共産党「暴走ストップ! 政治を変える」(同315人)

  http://www.jcp.or.jp/web_policy/html/2014-sousenkyo.html

      
1)消費税
                                     表作成:政策工房

141204 黒澤さん①

                                                               

2) 財政再建                           表作成:政策工房

141204黒澤さん②
※次回は、各党が掲げる「経済再生・成長戦略」について紹介致します。


高橋洋一・株式会社政策工房 代表取締役会長】 

 現代ビジネス24日掲載された。筆者の「衆院解散「大義なし」批判は財務省からのアメを失った増税派の遠吠えにすぎない」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41199)の中のグラフについて、池田信夫氏が捏造だといった(ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51920669.html)。
現時点では、その記事は削除されているが、こちらには謝罪もない。まったく非常識な話だ。

 

 一応数字を確認しておこう。これらは内閣府の統計サイト(http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2014/qe143/gdemenuja.html)にあるものをエクセルで計算しただけである。

 201379月期から1012月期、駆け込み需要のあった1413月期、その反動減と消費増税による需要後退のあった46月期、そしてこの79月期の実質GDPの対前期比はそれぞれ、2.4%増、1.6%減、6.7%増、7.3%減、1.6%減である(下図)。

141127高橋さん①
                                                  (表作成:政策工房)
 
 マスコミはこの数字ばかり報道しているが、傾向を見るためには、それぞれの前年同期比をみるといい。それらの数字は、
2.5%増、2.3%増、2.9%増、0.2%減、1.2%減となっている(下図)

141127高橋さん②
                                    
  (表作成:政策工房)

 これを見ると、消費増税の4月以前には、2%程度の実質経済成長をしていたが、消費増税後の4月以降はマイナス成長になったことがすぐわかる。

 

 伸び率だけではわかりにくい場合もあるので、実際の実質GDPの金額(季節調整済み、年換算)を入れてみることも経済の動きを理解するのに便利だ。消費増税の影響がなく、その前の年2%の伸びを維持していたらという場合も計算できる(下図)。


141127高橋さん③
                                    (表作成:政策工房)


 
 消費増税で15兆円ほどのGDPを失った。この場合、国と地方を合わせた税収も3兆円ほど失っただろう。つまり、増税して、景気が悪くなって、減収になったと最悪のパターンだ。

 

 池田信夫氏らのデフレ・増税論者は、増税による景気悪化を予測できず、今の景気悪化も分析できず、その上、正しく景気予測をした人を誹謗中傷するのはまったくおかしい。 


 
 

 

高橋洋一・株式会社政策工房 代表取締役会長】 

 

 先月の本コラム(消費増税有識者と衆院解散)に書いたとおりの展開になってきた。11月19日(大安)解散-12月14日(友引)総選挙というスケジュールで、解散風が吹いている。

 

 いうまでもなく解散は首相の専権事項である。安倍首相が外遊中なので、すべては帰国してからだが、もはや現場は動き出しているので、止まらないだろう。

 

 いずれにしても、79月期のGDPは、消費増税の判断をするうえでも注目されているが、その一次速報は1117日に公表される。消費増税10%への再引き上げを行うなら、本来GDPはどれぐらいの数字でなければならないだろうか。

 

 ちょっと数字を使って頭の体操をしてみよう。201413月期、46月期の実際の実質GDP(年換算)は、それぞれ、535.0兆円、525.3兆円だった。13月期では駆け込み需要、46月期ではその反動減と消費増税による需要減があった。

 

 もし今年4月の消費増税がなかったなら、13月期、46月期は、それぞれ前年同期比2%の成長があっただろう。実際、201379月期、1012月期ではともに2.4%の成長だったのだ。そうであれば、13月期、46月期の実質GDPは531.5兆円、536.0兆円だっただろう。となると、13月期での駆け込み需要増は、実際の535.0兆円から増税なった場合の531.5兆円を引いた3.5兆円。46月期では、その分反動減となるはずだ。しかし、それ以上に7.3兆円ほどGDPが減少しているので、それは消費増税の悪影響とみてよい(これはあくまで筆者の目の子であり、きちんとした数字ではないが、イメージはつかめるだろう)。

141113高橋さん(表作成:政策工房) 


 この消費増税の悪影響は、79月期も同じ程度で継続するはずだ。もし増税がなければ、538.4兆円のはずだが、消費増税の悪影響を受けて、それより7.3兆円少ない531.1兆円程度になってもいいだろう。これでも、消費増税の悪影響があったので、本来得られるはずのGDP538.4兆円より小さいが、増税派にとってギリギリ想定内と言えなくもない。その数字の前期比は4.5%増だ。つまり、79月期の実質GDPが前期比4.5%増なら、増税派は10%への再増税容認というだろう。

 

 もちろん、増税スキップ派の筆者にはこれでもトンでもない数字である。筆者であれば、79月期は消費増税なしの場合に本来得られているはずの前年同期比2%増の538.4兆円程度でないと再増税には賛同しかねる。ちなみに、この数字は前期比10%増(年率換算)である。 

原英史・株式会社政策工房 代表取締役社長】 


 「地方創生」の戦略を検討する「まち・ひと・しごと創生会議」(民間人有識者12名で構成)では、年内に「長期ビジョン」と「総合戦略」を策定することになっており、11月6日、それらの骨子案が提示された。

 「地方創生」に関する重要論点のひとつが人口問題だ。このまま推移すれば、人口縮小、地方からの人口流出によって、相当数の自治体が消滅してしまうというのが、政府の問題意識の出発点のひとつだ。
 

 今回の「長期ビジョン」骨子案では、この人口問題について、以下の「目指すべき将来の方向」が示された。

1)「50年後1億人」を確保すべく、人口減少に歯止めをかける。このため、出生率1.8程度(OECD諸国の半数以上が実現している水準)への改善を目指す。

2)東京一極集中を是正する。

 

 ここで、2)の「東京一極集中の是正」が出てくるのは、「東京一極集中が出生率低下を招いている」との認識に基づく。

 だが、現状ではたしかに都市部での出生率が地方を下回るが、各国との比較からも、「都市部では出生率が低い」という必然性はない。むしろ、都市部で適切な少子化対策を講じれば、人口問題の解決は可能なはずであり、「東京一極集中」が是正すべきことなのかどうかは、別問題だ。

 
 「東京一極集中」の問題については、改めて論ずることとし、本稿では、「出生率」の問題を取り上げたい。

 

 フランス(2.01)、イギリス(2.00)、スウェーデン(1.98)、アメリカ(1.93)など(いずれも2010年データ)、多くの国で出生率1.8以上がクリアされており(特にフランス・イギリス・スウェーデンでは、この10~20年で相当程度の改善)、我が国(1.4程度)に改善の可能性があることはそのとおりであろう。

(参考)内閣府資料(19ページ)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/souseikaigi/dai1/sankou.pdf

 ただ、問題は、いかにして実現するかだ。

 

 現状のデータを分析すると、

(1)結婚した夫婦の理想の子供数・現実の子供数は、ここ30-40年ほど大きな変化はない(図1)。      

【図1】理想の子ども数・現実の子ども数
                                            【図1】            
                  (出所:平成26年版少子化社会対策白書)

 

(2)一方、30代未婚率は、ここ30年で平均7%程度から30%程度まで急増(図2)。
   これが、少子化を進行させている大きな要因である。

【図2】年齢別未婚率の推移(女性) 
                         【図2】
                    (出所:平成26年版少子化社会対策白書)

 

 これを踏まえ、少子化対策としては、以下の2点の解決を図ることが有効と考えられる。

(1)理想の子供数を、多くの夫婦が経済的理由であきらめていること(図3)。

                            【図3】     
              (出所:平成26年版少子化社会対策白書)



(2)不安定であるが故に結婚に踏み切れない人(特に男性)が、未婚率を高めている
こと(図4)。

【図3】理想の子ども数を持たない理由
                                         【図4】 
                    (出所:平成26年版少子化社会対策白書)
                    

 具体的には、

・子育て給付拡大、税制などを通じ、育児のコスト低減、

・待機児童解消など、保育環境の整備(株式会社と社会福祉法人のイコールフッティング、保育士配置基準の見直しなど)、

・雇用改革(同一労働同一賃金を軸として若者の雇用環境改善、いちど出産で仕事をやめても復帰して活躍できる環境整備など)

といった対策が必要だ。

 とりわけ、予算措置だけにとどまらず、「保育」「雇用」の分野で、いわゆる岩盤規制に切り込むことができるかどうか。「出生率1.8」を口先だけの目標にとどめず、実現できるかどうかの試金石だ。

 

 

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