【労働者派遣法改正案が参議院で修正可決、成立へ】

今週8日、派遣労働者の柔軟な働き方を認めることを目的に、企業の派遣受け入れ期間の最長3年という上限規制を撤廃(一部の専門業務を除く)する一方、届け出のみで認められてきた派遣事業を、すべて許可制にして国の指導・監督を強化するとともに、派遣労働者一人ひとりの派遣期間の上限は原則3年に制限して、派遣会社に3年経過した後に派遣先での直接雇用の依頼や、新たな派遣先の提供、派遣社員のキャリアアップ支援などの雇用安定措置を義務づける「労働者派遣法改正案」が、施行予定日を9月30日に修正するなどしたうえで、参議院厚生労働委員会で与党の賛成多数により可決した。「生涯派遣で低賃金の労働者が増える」「派遣の固定化、不安定化につながる」ことなどを理由に改正案に反対してきた民主党や共産党など野党は、修正改正案に反対した。

また、同じ職務を行う労働者は正規・非正規にかかわらず同じ賃金を支払う「同一労働・同一賃金推進法案」も採決され、与党や維新の党などの賛成多数により可決した。


 *衆参両院の本会議や委員会での審議模様は、以下のページからご覧になれます。

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8日の参議院厚生労働委員会では、質疑終了後、与党が質疑終結の動議を提出したが、民主党など野党が強く抗議したため、同委員会は一時休憩となった。その後に開かれた同委員会理事会で、参議院でも強行採決に踏み切れば、安全保障関連2法案の審議などに影響しかねないことを懸念した与党が、(1)原則3年の派遣期間を延長する際に必要な労働組合などへの意見聴取を「誠実に行う」とする規定を労働者派遣法改正案に明記すること、(2)附帯決議に野党側が主張する39項目を盛り込むこと、とした譲歩案を野党側に提示した。これを受け、民主党など野党が委員会採決そのものには応じることを決めたことから、委員会が再開して2法案の採決が行われることとなった。

 そして9日、参議院本会議で労働者派遣法改正案と、同一労働・同一賃金推進法案の採決が行われ、与党などの賛成多数により可決された。このうち、参議院で修正した労働者派遣法改正案は、衆議院で改めて採決する必要があるため、衆議院に回付となった。与党は、11日の衆議院本会議で可決・成立させる日程を描いており、成立する見通しだ。

 

2012年労働者派遣法改正に伴う「労働契約申し込みみなし制度」が10月1日からスタートするが、派遣期間の制限がない専門26業務で本来の業務と関係ない業務などをさせている派遣先の企業が、直接雇用を希望する派遣労働者を雇用しなければならなくなる事態を回避するため、派遣社員の契約を9月で打ち切る事態もありうる。政府は、こうした混乱が生じないよう、異例のスピードで同法を施行する方針だ。改正案には、派遣労働者が増えた場合、速やかに対応を検討するとの規定も盛り込まれている。今後、政府は、今回の制度改正等により労働者に与える影響なども注視しながら、必要な対策などを講じていくこととなるだけに、引き続き施行後の動向をみていくことが大切だろう。

 また、柔軟な働き方を広げて労働生産性を高めるねらいから高度プロフェッショナル制度創設や企画業務型裁量労働制の対象を新商品開発・立案や課題解決型営業などへの拡大、年5日の有給休暇の取得ができるよう企業に義務づける過労対策などを柱とする「労働基準法等の一部を改正する法律案」は、通常国会中の成立を断念しているが、政府・与党は次期国会にも成立させる方向で強い意欲を示している。一方、民主党や共産党など野党は、残業手当を支払うなどの労働時間規制が外れることなどを懸念して「残業代ゼロ法案」と批判を強めているだけに、与野党対決法案として持ち越されることとなりそうだ。

 

 このほか、国民一人ひとりに12桁の個人番号を割りあてて税・社会保障関連情報を一つの番号で管理する共通番号(マイナンバー)制度の適用範囲を、預貯金口座や年金分野、特定健康診査情報などにも広げることのほか、個人情報保護の観点から蓄積された膨大な個人情報をビッグデータとして活用する際の利活用環境の整備、情報の漏洩や不正利用に対する罰則の新設などを柱とする「個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案」が、3日の衆議院本会議で、与党や民主党などの賛成多数により可決、成立した。

個人情報流出問題がおきた日本年金機構の情報管理体制などへの懸念から、来年1月に予定していたマイナンバーと基礎年金番号の連結を最長2017年5月まで、年金機構がマイナンバーを使って情報を提供したり照会したりすることも最長2017年11月まで延期することなどが参議院で修正されたため、衆議院で再可決となった。

 

 政府は、今年10月からマイナンバーの通知を始め、来年1月から税金・社会保障、災害関連の3分野を中心とした行政手続きで番号活用をスタートさせる。また、企業などの個人情報の取り扱いやプライバシー保護などを監視するとともに、行政機関や独立行政法人も検査して個人情報の漏洩や不正利用を防ぐ第三者機関「個人情報保護委員会」は、改組前の組織より権限を強めて来年1月に発足させる。

4日、政府は、インターネット空間の安全確保に向けた新たな指針「サイバーセキュリティ戦略」を閣議決定し、マイナンバー制度への対策強化を進めるとともに、サイバー攻撃被害の監視対象を政府機関から独立行政法人や一部の特殊法人にもひろげるとした。今後は、自治体の情報セキュリティー対策も含め、マイナンバー制度の円滑かつ安全な運用に向けてどのような具体策を政府が講じていくかだろう。

 

 

【安全保障法制、国会最終盤の最大焦点に】

労働者派遣法改正案の成立メドがたったことで、安全保障関連2法案(平和安全法制整備法案、国際平和支援法案)が通常国会最終盤の最大焦点となった。参議院わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会では、共産党が2日、防衛省の河野統合幕僚長が2014年12月に渡米して、オディエルノ陸軍参謀総長との会談で安全保障法制整備が2015年夏までに終了するとの見通しを伝えていたのではないかとされる内部報告書「統幕長訪米時における会談の結果概要について」を示して、防衛省を追及した。中谷防衛大臣兼安全保障法制担当大臣は「資料を確認できないので言及を控える」と答弁するにとどめた。

野党側は、「政府案も決まっていない段階での発言だ。シビリアン・コントロール(文民統制)を逸脱している」(民主党の枝野幹事長)などと批判し、防衛省の資料かどうかを早急に確認するよう要求している。成立時期に言及するような発言を自衛隊制服組トップが本当におこなっていたとすれば、政府として河野統合幕僚長の罷免を含め厳正に対処するよう求めている。こうした野党の追及に、中谷大臣は「防衛省で作られたかどうか確認中。公表を前提に行われた会談ではなく、相手方との信頼関係にもかかわるため慎重に調査している」(4日の特別委員会答弁)と説明した。

鴻池特別委員長(自民党)が3日以内に内部報告書の存否について報告するよう、防衛省に求めたことを受け、防衛省は7日、鴻池特別委員長に「共産党が提示した資料と同じものはなかった」と報告した。河野統合幕僚長は、10日の記者会見で「(共産党が提示した報告書と)同じ題名の文書は存在した」と認めつつも、内容真偽の説明を避けながら「同一のものはなかったということでご了解いただきたい」と述べた。資料の存否や内容の真偽を明らかにするよう求めてきた民主党や共産党は、防衛省側の説明に納得できず、むしろより疑惑が深まったとして、さらに追及する方針だ。

 

 8日の特別委員会では、有識者4人を招いて安全保障関連2法案に関する参考人質疑を実施した。元外交官の宮家邦彦・立命館大学客員教授(与党推薦)は「あらゆる事態に対応できる枠組みを準備しておかなければいけない」「本当に現行法制だけで日本を守れると思っているのか」と法案支持を表明するとともに、憲法論にもとづいた批判について「安全保障の本質を理解しない観念論と机上の空論」「憲法があるから国家があるのではなく、国家を守るために憲法がある」と強調し、「違憲、合憲の最終的判断を下すのは最高裁。憲法学者、内閣法制局長官にその権限はない」と述べた。

安全保障論が専門の神保謙・慶應義塾大学准教授(与党推薦)は、日本の安全保障に不可欠だと法案に賛同しつつも、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態への対応において自衛隊の柔軟な運用や海上保安庁の権限・能力の拡大も議論すべきであり、武力行使の新3要件も「範囲が限定されすぎ」と指摘して、「切れ目のない態勢を確保できているかという点では十分でない」「仮に成立しても不断の態勢整備が必要」と、さらなる改善を求めた。

 

 一方、大森政輔・元内閣法制局長官(野党推薦)は、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈を変更した昨年7月の閣議決定について「国際環境や安全保障環境を考慮しても、内閣の独断であり、許容できない」と内閣の権能を超えるもので違憲・無効と断じるとともに、政府が合憲性の根拠として1959年の最高裁砂川事件判決を挙げている点について「全くの暴論」と批判した。また、伊藤真・弁護士(野党推薦)も「どのような安全保障・外交政策でも憲法の枠内で実行することが立憲主義の本質的要請だ。憲法あってこその国家」「法案は国民主権、民主主義、憲法9条、平和主義、立憲主義に反する。直ちに廃案にすべきだ」と訴えた。 

米軍への後方支援を定めた現行の周辺事態法の制定に関わった大森元長官は、当時、周辺事態法で「発進準備中の航空機への給油」が支援対象より除外されたことについて、内閣法制局は憲法上疑義があるとの認識から「武力行使との一体化の典型的事例で認められない」と繰り返し主張してきたが、政府内の協議で「ニーズがない」ということだったので収めた経緯があったと証言した。

 

 

【中央公聴会を15日開催、来週中に成立へ】

 参議院特別委員会で参考人質疑が行われたことで、与党は、中央公聴会や集中審議など速やかに採決環境を整えたうえで、16日までに特別委員会で採決し、18日までに参議院本会議で可決・成立させたい考えだ。与党が採決を急ぐのは、今月19日から23日まで大型連休で、26日からは安倍総理の訪米も控えているだけに、会期末(9月27日)までの日数が実質残りわずかになっていることがある。関連2法案の採決が遅れて不測事態により廃案に追い込まれることがないよう、事実上のタイムリミットは18日とみている。審議日程を短縮するため、地方公聴会開催を見送るようだ。

 一方、民主党など野党側は「丁寧に国民に説明するといってきたのに、うそつきだ」(民主党の枝野幹事長)などと採決・成立に急ぐ与党側を批判するとともに、地方公聴会や安倍総理出席のもとでの集中審議の開催を与党に求める意向を示すなど、強くけん制する。また、4日、民主党・維新の党・共産党・社民党・生活の党・日本を元気にする会の野党6党と参議院会派・無所属クラブの党首・代表らが会談を行い、与党が参関連2法案の採決を強行するとみて、強引な採決入り阻止に向けて連携・協力していくことを確認した。会談では、与党が参議院でも強行採決に踏み切れば、内閣不信任決議案の衆議院提出、安倍総理や中谷大臣・岸田外務大臣ら関係閣僚の問責決議案を参議院に提出すべきだとの意見が出され、共同提出に前向きな意見が大勢を占めたようだ。

 

維新の党は3日、政府の関連2法案の対案として、現行法の骨格は維持したうえで周辺事態発生時に対応措置を取る自衛隊員の安全確保規定などを追加した「周辺事態法改正案」と、駆け付け警護を限定的に認めることなどを柱とする「国連平和維持活動(PKO)協力法改正案」を参議院に単独提出した。また、4日には、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態に対処する「領域警備法案」を民主党と参議院に共同提出した。

与党と維新の党との間で修正協議が行われているが、3日に行われた協議でも集団的自衛権行使の要件など「基本的なところでぶつかった」(自民党の高村副総裁)として溝が埋まらなかったようだ。10日に開かれた修正協議でも歩み寄りは見られなかった。与党は、維新の党が事実上の分裂状態に陥ったことなどを理由に修正合意は難しいとの見方をすでに示しており、近く協議が決裂する見通しだ。日本を元気にする会・次世代の党・新党改革との修正協議では、3党が3日に国会提出した修正案のうち、自衛隊の海外活動を国会が事後検証するための組織を国会に設置することなどについて、衆議院への回付が必要な条文変更はせず、附帯決議へ盛り込む方向で調整を進めている。

 与党との修正協議が不調に終わる見通しが強まっていることを踏まえ、維新の党の松野代表は「我々の対案を全く飲み込まないままに参議院で強行採決、違憲の法案に関して強行採決をしたということであれば、十分内閣不信任に値する。共同提出するのかなど、やり方に関してはこれから党内に諮りたい」(4日の野党会談)と、安倍内閣との対決姿勢を強める民主党などと歩調をあわせて内閣不信任決議案の共同提出に前向きな姿勢を示して、与党側を牽制している。

 

 8日の特別委員会理事会で、16日の特別委員会で安倍総理出席のもと締めくくりの質疑を行って関連2法案を可決させる方針を固めた与党は、15日の中央公聴会開催を提案したが、野党側は「審議が尽くされていない」「地方公聴会を先にやるべきだ」などと拒否した。参考人質疑終了後の理事懇談会で与野党協議を再開しようするも民主党などが欠席して協議に応じなったため、鴻池特別委員長(自民党)が特別委員会を再開し、中央公聴会15日開催の採決に踏み切った。与党と修正協議を行っている野党3党の賛成多数により議決された。採決に強く反発する民主党の委員らが鴻池特別委員長に詰め寄って抵抗したほか、維新の党や共産党は議決に加わらなかった。

 野党側は「こうした暴挙は許されるものではない」(民主党の枝野幹事長)などと反発しており、野党6党と無所属クラブによる幹事長・書記局長会談で、中央公聴会の議決に抗議するとともに、地方公聴会開催や河野統合幕僚長の参考人招致、安倍総理出席のもと衆議院予算委員会の開催など、徹底審議を与党側に求めることで一致した。これを受け、民主党は、9日の特別委員会理事懇談会で、地方公聴会を与党が特別委員会で採決する16日に開催するよう提案したが、与党側はこれに応じなかった。民主党の長妻代表代行は、地方公聴会を経ず採決をめざす与党に対し「全国的に反対の声が燎原の火のごとく広がっている。全国の皆さんに法案の課題、問題点を聞いてもらうことが不可欠だ」(10日の記者会見)と批判した。

 なお、同日の参議院議院運営委員会では、中央公聴会を15日に開催することを正式に決定した。また特別委員会理事会では、11日と14日に安倍総理が出席のもと集中審議を行うことが決まった。

 

 

【政局含みの攻防動向に注意を】

自民党は、8日、安倍総裁(総理)の9月末の任期満了に伴う総裁選を告示した。安倍総裁以外に立候補の届け出がなく、安倍総裁の無投票再選が事実上決まった。当初、2012年総裁選に出馬した石破地方創生担当大臣や岸田外務大臣らが出馬するのではないかとみられていたが、安倍総理と対立することで野党から閣内不一致との批判を招くほか、安全保障関連2法案の審議にも影響が出かねないとして、安倍総裁の続投を相次いで支持し立候補しない意向を明らかにした。また、党内全7派閥が安倍総裁の再選支持を表明したほか、安全保障関連2法案の審議への影響を懸念する自民党執行部や派閥領袖クラスなどから対抗馬擁立を牽制する意見も相次いだ。

このようななか、「自民党が責任与党として期待に応えているか、国民と心が離れていないか見続けている」と安倍総理の政権運営に不満をにじませていた野田聖子前総務会長が「総裁選で無投票であってはならない」「ありとあらゆる議論ができる場所を提供することが必要」と、自身の出馬を含め模索し続けた。しかし、立候補に必要な国会議員20人の推薦確保ができず、野田前総務会長は告示日当日に出馬断念を表明した。

 

総裁任期は平成30年9月までで、安全保障関連2法案成立後にも開催される自民党両院議員総会で正式に決定される予定だ。野田前総務会長の出馬で自民党総裁選の選挙戦に突入すれば、安倍総理の政権運営に不満をもつ勢力の受け皿となり、安全保障関連2法案の審議にも影響が出かねないと警戒する向きもあった。しかし、安倍総裁の無投票再選が決まったことで安堵した与党幹部は、関連2法案を来週中には確実に成立させる方針を改めて確認した。

これまで与党は、参議院送付から60日経過しても関連法案が採決されない場合には衆議院本会議で3分の2以上の賛成により再可決できる「60日ルール」(憲法第59条)を適用せず、参議院での採決で決着を図っていく方針だった。しかし、委員会採決に踏み切れば、民主党など野党側が内閣不信任決議案などの提出を連発し、徹底抗戦にでることも予想され、参議院本会議の採決がずれ込む可能性もある。採決日程で野党に譲歩しても好転が望めない情勢だけに、自民党執行部は、16日に参議院本会議へ緊急上程できない場合は60日ルール適用も視野に早期成立に努めるべきと主張しているが、参議院自民党側は、緊急上程には全会一致が原則だとして、あくまで与野党決着に向け18日まで努力すべきだと抵抗している。自民党内での協議によっては、参議院本会議の採決が17日または18日にずれ込む可能性もあるようだ。

 

 これに対し、民主党や維新の党、共産党、社民党、生活の党は、与党が強行採決に踏み切れば、内閣不信任決議案などを共同提出する方向で検討に入っている。11日にも野党6党の党首会談を開き、今後の一致した対応をとることを確認するという。

ただ、民主党が描くとおりに野党が足並みを揃え、共闘できるかはいまだ不透明のままとなっている。事実上の分裂状態となる維新の党が一致結束した対応できるかが曖昧となっているからだ。安倍内閣に是々非々で臨む橋下前最高顧問(大阪市長)らの新党に参加意向を示している所属議員らが共同提出に反対している。民主党と共闘していく方針の松野代表は、内閣不信任決議案などの採決にあたって「首相指名に次いで重要だ。党議拘束をかけるのがあたり前」と、造反に厳しく臨む方針を示して、新党参加組を牽制している。
 また、松野代表は8日、新党参加の公言した馬場国対委員長と片山総務会長、新党参加組が辞任を求めていた柿沢幹事長に、それぞれ役職を辞するよう通告した。分裂騒動に伴う事実上の解任とみられている。後任の幹事長に今井政調会長、国対委員長に牧副幹事長、総務会長に小野幹事長代理、今井政調会長の後任に井坂政調会長代理をそれぞれ起用した。松野代表は、新執行部のもと安全保障関連2法案の採決や内閣不信任決議案への対応にあたって党内結束を呼び掛けたが、新党参加組らは、橋下前最高顧問に近い議員を新執行部から排除して野党再編路線へ舵をきったことに反発しており、双方の亀裂がより一層深まりつつある。

民主党内でも、維新の党の分裂に現実味が増したことを踏まえ、いったん民主党を解党して与党に対峙できる野党勢力の結集を図っていくべきとの求める声が、中堅・若手議員らから出ている。ただ、岡田代表ら執行部は、民主党を軸に野党勢力を結集していきたい考えで、野党再編の方向性をめぐって食い違いも生じ始めているようだ。

 

 終盤国会の最大焦点となっている安全保障関連2法案は、来週末にかけて大きなヤマ場を迎える。国会会期末をにらみ、与野党入り乱れた攻防や、水面下の駆け引きがより一層激しくなっていく見通しで、政局含みの緊迫した局面にも入るだろう。引き続き関連2法案採決をめぐる情勢に注意しながら、終盤国会の行方をみていくことが重要だろう。