政策工房 Public Policy Review

霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!

【労働者派遣法改正案が参議院で修正可決、成立へ】

今週8日、派遣労働者の柔軟な働き方を認めることを目的に、企業の派遣受け入れ期間の最長3年という上限規制を撤廃(一部の専門業務を除く)する一方、届け出のみで認められてきた派遣事業を、すべて許可制にして国の指導・監督を強化するとともに、派遣労働者一人ひとりの派遣期間の上限は原則3年に制限して、派遣会社に3年経過した後に派遣先での直接雇用の依頼や、新たな派遣先の提供、派遣社員のキャリアアップ支援などの雇用安定措置を義務づける「労働者派遣法改正案」が、施行予定日を9月30日に修正するなどしたうえで、参議院厚生労働委員会で与党の賛成多数により可決した。「生涯派遣で低賃金の労働者が増える」「派遣の固定化、不安定化につながる」ことなどを理由に改正案に反対してきた民主党や共産党など野党は、修正改正案に反対した。

また、同じ職務を行う労働者は正規・非正規にかかわらず同じ賃金を支払う「同一労働・同一賃金推進法案」も採決され、与党や維新の党などの賛成多数により可決した。


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8日の参議院厚生労働委員会では、質疑終了後、与党が質疑終結の動議を提出したが、民主党など野党が強く抗議したため、同委員会は一時休憩となった。その後に開かれた同委員会理事会で、参議院でも強行採決に踏み切れば、安全保障関連2法案の審議などに影響しかねないことを懸念した与党が、(1)原則3年の派遣期間を延長する際に必要な労働組合などへの意見聴取を「誠実に行う」とする規定を労働者派遣法改正案に明記すること、(2)附帯決議に野党側が主張する39項目を盛り込むこと、とした譲歩案を野党側に提示した。これを受け、民主党など野党が委員会採決そのものには応じることを決めたことから、委員会が再開して2法案の採決が行われることとなった。

 そして9日、参議院本会議で労働者派遣法改正案と、同一労働・同一賃金推進法案の採決が行われ、与党などの賛成多数により可決された。このうち、参議院で修正した労働者派遣法改正案は、衆議院で改めて採決する必要があるため、衆議院に回付となった。与党は、11日の衆議院本会議で可決・成立させる日程を描いており、成立する見通しだ。

 

2012年労働者派遣法改正に伴う「労働契約申し込みみなし制度」が10月1日からスタートするが、派遣期間の制限がない専門26業務で本来の業務と関係ない業務などをさせている派遣先の企業が、直接雇用を希望する派遣労働者を雇用しなければならなくなる事態を回避するため、派遣社員の契約を9月で打ち切る事態もありうる。政府は、こうした混乱が生じないよう、異例のスピードで同法を施行する方針だ。改正案には、派遣労働者が増えた場合、速やかに対応を検討するとの規定も盛り込まれている。今後、政府は、今回の制度改正等により労働者に与える影響なども注視しながら、必要な対策などを講じていくこととなるだけに、引き続き施行後の動向をみていくことが大切だろう。

 また、柔軟な働き方を広げて労働生産性を高めるねらいから高度プロフェッショナル制度創設や企画業務型裁量労働制の対象を新商品開発・立案や課題解決型営業などへの拡大、年5日の有給休暇の取得ができるよう企業に義務づける過労対策などを柱とする「労働基準法等の一部を改正する法律案」は、通常国会中の成立を断念しているが、政府・与党は次期国会にも成立させる方向で強い意欲を示している。一方、民主党や共産党など野党は、残業手当を支払うなどの労働時間規制が外れることなどを懸念して「残業代ゼロ法案」と批判を強めているだけに、与野党対決法案として持ち越されることとなりそうだ。

 

 このほか、国民一人ひとりに12桁の個人番号を割りあてて税・社会保障関連情報を一つの番号で管理する共通番号(マイナンバー)制度の適用範囲を、預貯金口座や年金分野、特定健康診査情報などにも広げることのほか、個人情報保護の観点から蓄積された膨大な個人情報をビッグデータとして活用する際の利活用環境の整備、情報の漏洩や不正利用に対する罰則の新設などを柱とする「個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案」が、3日の衆議院本会議で、与党や民主党などの賛成多数により可決、成立した。

個人情報流出問題がおきた日本年金機構の情報管理体制などへの懸念から、来年1月に予定していたマイナンバーと基礎年金番号の連結を最長2017年5月まで、年金機構がマイナンバーを使って情報を提供したり照会したりすることも最長2017年11月まで延期することなどが参議院で修正されたため、衆議院で再可決となった。

 

 政府は、今年10月からマイナンバーの通知を始め、来年1月から税金・社会保障、災害関連の3分野を中心とした行政手続きで番号活用をスタートさせる。また、企業などの個人情報の取り扱いやプライバシー保護などを監視するとともに、行政機関や独立行政法人も検査して個人情報の漏洩や不正利用を防ぐ第三者機関「個人情報保護委員会」は、改組前の組織より権限を強めて来年1月に発足させる。

4日、政府は、インターネット空間の安全確保に向けた新たな指針「サイバーセキュリティ戦略」を閣議決定し、マイナンバー制度への対策強化を進めるとともに、サイバー攻撃被害の監視対象を政府機関から独立行政法人や一部の特殊法人にもひろげるとした。今後は、自治体の情報セキュリティー対策も含め、マイナンバー制度の円滑かつ安全な運用に向けてどのような具体策を政府が講じていくかだろう。

 

 

【安全保障法制、国会最終盤の最大焦点に】

労働者派遣法改正案の成立メドがたったことで、安全保障関連2法案(平和安全法制整備法案、国際平和支援法案)が通常国会最終盤の最大焦点となった。参議院わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会では、共産党が2日、防衛省の河野統合幕僚長が2014年12月に渡米して、オディエルノ陸軍参謀総長との会談で安全保障法制整備が2015年夏までに終了するとの見通しを伝えていたのではないかとされる内部報告書「統幕長訪米時における会談の結果概要について」を示して、防衛省を追及した。中谷防衛大臣兼安全保障法制担当大臣は「資料を確認できないので言及を控える」と答弁するにとどめた。

野党側は、「政府案も決まっていない段階での発言だ。シビリアン・コントロール(文民統制)を逸脱している」(民主党の枝野幹事長)などと批判し、防衛省の資料かどうかを早急に確認するよう要求している。成立時期に言及するような発言を自衛隊制服組トップが本当におこなっていたとすれば、政府として河野統合幕僚長の罷免を含め厳正に対処するよう求めている。こうした野党の追及に、中谷大臣は「防衛省で作られたかどうか確認中。公表を前提に行われた会談ではなく、相手方との信頼関係にもかかわるため慎重に調査している」(4日の特別委員会答弁)と説明した。

鴻池特別委員長(自民党)が3日以内に内部報告書の存否について報告するよう、防衛省に求めたことを受け、防衛省は7日、鴻池特別委員長に「共産党が提示した資料と同じものはなかった」と報告した。河野統合幕僚長は、10日の記者会見で「(共産党が提示した報告書と)同じ題名の文書は存在した」と認めつつも、内容真偽の説明を避けながら「同一のものはなかったということでご了解いただきたい」と述べた。資料の存否や内容の真偽を明らかにするよう求めてきた民主党や共産党は、防衛省側の説明に納得できず、むしろより疑惑が深まったとして、さらに追及する方針だ。

 

 8日の特別委員会では、有識者4人を招いて安全保障関連2法案に関する参考人質疑を実施した。元外交官の宮家邦彦・立命館大学客員教授(与党推薦)は「あらゆる事態に対応できる枠組みを準備しておかなければいけない」「本当に現行法制だけで日本を守れると思っているのか」と法案支持を表明するとともに、憲法論にもとづいた批判について「安全保障の本質を理解しない観念論と机上の空論」「憲法があるから国家があるのではなく、国家を守るために憲法がある」と強調し、「違憲、合憲の最終的判断を下すのは最高裁。憲法学者、内閣法制局長官にその権限はない」と述べた。

安全保障論が専門の神保謙・慶應義塾大学准教授(与党推薦)は、日本の安全保障に不可欠だと法案に賛同しつつも、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態への対応において自衛隊の柔軟な運用や海上保安庁の権限・能力の拡大も議論すべきであり、武力行使の新3要件も「範囲が限定されすぎ」と指摘して、「切れ目のない態勢を確保できているかという点では十分でない」「仮に成立しても不断の態勢整備が必要」と、さらなる改善を求めた。

 

 一方、大森政輔・元内閣法制局長官(野党推薦)は、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈を変更した昨年7月の閣議決定について「国際環境や安全保障環境を考慮しても、内閣の独断であり、許容できない」と内閣の権能を超えるもので違憲・無効と断じるとともに、政府が合憲性の根拠として1959年の最高裁砂川事件判決を挙げている点について「全くの暴論」と批判した。また、伊藤真・弁護士(野党推薦)も「どのような安全保障・外交政策でも憲法の枠内で実行することが立憲主義の本質的要請だ。憲法あってこその国家」「法案は国民主権、民主主義、憲法9条、平和主義、立憲主義に反する。直ちに廃案にすべきだ」と訴えた。 

米軍への後方支援を定めた現行の周辺事態法の制定に関わった大森元長官は、当時、周辺事態法で「発進準備中の航空機への給油」が支援対象より除外されたことについて、内閣法制局は憲法上疑義があるとの認識から「武力行使との一体化の典型的事例で認められない」と繰り返し主張してきたが、政府内の協議で「ニーズがない」ということだったので収めた経緯があったと証言した。

 

 

【中央公聴会を15日開催、来週中に成立へ】

 参議院特別委員会で参考人質疑が行われたことで、与党は、中央公聴会や集中審議など速やかに採決環境を整えたうえで、16日までに特別委員会で採決し、18日までに参議院本会議で可決・成立させたい考えだ。与党が採決を急ぐのは、今月19日から23日まで大型連休で、26日からは安倍総理の訪米も控えているだけに、会期末(9月27日)までの日数が実質残りわずかになっていることがある。関連2法案の採決が遅れて不測事態により廃案に追い込まれることがないよう、事実上のタイムリミットは18日とみている。審議日程を短縮するため、地方公聴会開催を見送るようだ。

 一方、民主党など野党側は「丁寧に国民に説明するといってきたのに、うそつきだ」(民主党の枝野幹事長)などと採決・成立に急ぐ与党側を批判するとともに、地方公聴会や安倍総理出席のもとでの集中審議の開催を与党に求める意向を示すなど、強くけん制する。また、4日、民主党・維新の党・共産党・社民党・生活の党・日本を元気にする会の野党6党と参議院会派・無所属クラブの党首・代表らが会談を行い、与党が参関連2法案の採決を強行するとみて、強引な採決入り阻止に向けて連携・協力していくことを確認した。会談では、与党が参議院でも強行採決に踏み切れば、内閣不信任決議案の衆議院提出、安倍総理や中谷大臣・岸田外務大臣ら関係閣僚の問責決議案を参議院に提出すべきだとの意見が出され、共同提出に前向きな意見が大勢を占めたようだ。

 

維新の党は3日、政府の関連2法案の対案として、現行法の骨格は維持したうえで周辺事態発生時に対応措置を取る自衛隊員の安全確保規定などを追加した「周辺事態法改正案」と、駆け付け警護を限定的に認めることなどを柱とする「国連平和維持活動(PKO)協力法改正案」を参議院に単独提出した。また、4日には、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態に対処する「領域警備法案」を民主党と参議院に共同提出した。

与党と維新の党との間で修正協議が行われているが、3日に行われた協議でも集団的自衛権行使の要件など「基本的なところでぶつかった」(自民党の高村副総裁)として溝が埋まらなかったようだ。10日に開かれた修正協議でも歩み寄りは見られなかった。与党は、維新の党が事実上の分裂状態に陥ったことなどを理由に修正合意は難しいとの見方をすでに示しており、近く協議が決裂する見通しだ。日本を元気にする会・次世代の党・新党改革との修正協議では、3党が3日に国会提出した修正案のうち、自衛隊の海外活動を国会が事後検証するための組織を国会に設置することなどについて、衆議院への回付が必要な条文変更はせず、附帯決議へ盛り込む方向で調整を進めている。

 与党との修正協議が不調に終わる見通しが強まっていることを踏まえ、維新の党の松野代表は「我々の対案を全く飲み込まないままに参議院で強行採決、違憲の法案に関して強行採決をしたということであれば、十分内閣不信任に値する。共同提出するのかなど、やり方に関してはこれから党内に諮りたい」(4日の野党会談)と、安倍内閣との対決姿勢を強める民主党などと歩調をあわせて内閣不信任決議案の共同提出に前向きな姿勢を示して、与党側を牽制している。

 

 8日の特別委員会理事会で、16日の特別委員会で安倍総理出席のもと締めくくりの質疑を行って関連2法案を可決させる方針を固めた与党は、15日の中央公聴会開催を提案したが、野党側は「審議が尽くされていない」「地方公聴会を先にやるべきだ」などと拒否した。参考人質疑終了後の理事懇談会で与野党協議を再開しようするも民主党などが欠席して協議に応じなったため、鴻池特別委員長(自民党)が特別委員会を再開し、中央公聴会15日開催の採決に踏み切った。与党と修正協議を行っている野党3党の賛成多数により議決された。採決に強く反発する民主党の委員らが鴻池特別委員長に詰め寄って抵抗したほか、維新の党や共産党は議決に加わらなかった。

 野党側は「こうした暴挙は許されるものではない」(民主党の枝野幹事長)などと反発しており、野党6党と無所属クラブによる幹事長・書記局長会談で、中央公聴会の議決に抗議するとともに、地方公聴会開催や河野統合幕僚長の参考人招致、安倍総理出席のもと衆議院予算委員会の開催など、徹底審議を与党側に求めることで一致した。これを受け、民主党は、9日の特別委員会理事懇談会で、地方公聴会を与党が特別委員会で採決する16日に開催するよう提案したが、与党側はこれに応じなかった。民主党の長妻代表代行は、地方公聴会を経ず採決をめざす与党に対し「全国的に反対の声が燎原の火のごとく広がっている。全国の皆さんに法案の課題、問題点を聞いてもらうことが不可欠だ」(10日の記者会見)と批判した。

 なお、同日の参議院議院運営委員会では、中央公聴会を15日に開催することを正式に決定した。また特別委員会理事会では、11日と14日に安倍総理が出席のもと集中審議を行うことが決まった。

 

 

【政局含みの攻防動向に注意を】

自民党は、8日、安倍総裁(総理)の9月末の任期満了に伴う総裁選を告示した。安倍総裁以外に立候補の届け出がなく、安倍総裁の無投票再選が事実上決まった。当初、2012年総裁選に出馬した石破地方創生担当大臣や岸田外務大臣らが出馬するのではないかとみられていたが、安倍総理と対立することで野党から閣内不一致との批判を招くほか、安全保障関連2法案の審議にも影響が出かねないとして、安倍総裁の続投を相次いで支持し立候補しない意向を明らかにした。また、党内全7派閥が安倍総裁の再選支持を表明したほか、安全保障関連2法案の審議への影響を懸念する自民党執行部や派閥領袖クラスなどから対抗馬擁立を牽制する意見も相次いだ。

このようななか、「自民党が責任与党として期待に応えているか、国民と心が離れていないか見続けている」と安倍総理の政権運営に不満をにじませていた野田聖子前総務会長が「総裁選で無投票であってはならない」「ありとあらゆる議論ができる場所を提供することが必要」と、自身の出馬を含め模索し続けた。しかし、立候補に必要な国会議員20人の推薦確保ができず、野田前総務会長は告示日当日に出馬断念を表明した。

 

総裁任期は平成30年9月までで、安全保障関連2法案成立後にも開催される自民党両院議員総会で正式に決定される予定だ。野田前総務会長の出馬で自民党総裁選の選挙戦に突入すれば、安倍総理の政権運営に不満をもつ勢力の受け皿となり、安全保障関連2法案の審議にも影響が出かねないと警戒する向きもあった。しかし、安倍総裁の無投票再選が決まったことで安堵した与党幹部は、関連2法案を来週中には確実に成立させる方針を改めて確認した。

これまで与党は、参議院送付から60日経過しても関連法案が採決されない場合には衆議院本会議で3分の2以上の賛成により再可決できる「60日ルール」(憲法第59条)を適用せず、参議院での採決で決着を図っていく方針だった。しかし、委員会採決に踏み切れば、民主党など野党側が内閣不信任決議案などの提出を連発し、徹底抗戦にでることも予想され、参議院本会議の採決がずれ込む可能性もある。採決日程で野党に譲歩しても好転が望めない情勢だけに、自民党執行部は、16日に参議院本会議へ緊急上程できない場合は60日ルール適用も視野に早期成立に努めるべきと主張しているが、参議院自民党側は、緊急上程には全会一致が原則だとして、あくまで与野党決着に向け18日まで努力すべきだと抵抗している。自民党内での協議によっては、参議院本会議の採決が17日または18日にずれ込む可能性もあるようだ。

 

 これに対し、民主党や維新の党、共産党、社民党、生活の党は、与党が強行採決に踏み切れば、内閣不信任決議案などを共同提出する方向で検討に入っている。11日にも野党6党の党首会談を開き、今後の一致した対応をとることを確認するという。

ただ、民主党が描くとおりに野党が足並みを揃え、共闘できるかはいまだ不透明のままとなっている。事実上の分裂状態となる維新の党が一致結束した対応できるかが曖昧となっているからだ。安倍内閣に是々非々で臨む橋下前最高顧問(大阪市長)らの新党に参加意向を示している所属議員らが共同提出に反対している。民主党と共闘していく方針の松野代表は、内閣不信任決議案などの採決にあたって「首相指名に次いで重要だ。党議拘束をかけるのがあたり前」と、造反に厳しく臨む方針を示して、新党参加組を牽制している。
 また、松野代表は8日、新党参加の公言した馬場国対委員長と片山総務会長、新党参加組が辞任を求めていた柿沢幹事長に、それぞれ役職を辞するよう通告した。分裂騒動に伴う事実上の解任とみられている。後任の幹事長に今井政調会長、国対委員長に牧副幹事長、総務会長に小野幹事長代理、今井政調会長の後任に井坂政調会長代理をそれぞれ起用した。松野代表は、新執行部のもと安全保障関連2法案の採決や内閣不信任決議案への対応にあたって党内結束を呼び掛けたが、新党参加組らは、橋下前最高顧問に近い議員を新執行部から排除して野党再編路線へ舵をきったことに反発しており、双方の亀裂がより一層深まりつつある。

民主党内でも、維新の党の分裂に現実味が増したことを踏まえ、いったん民主党を解党して与党に対峙できる野党勢力の結集を図っていくべきとの求める声が、中堅・若手議員らから出ている。ただ、岡田代表ら執行部は、民主党を軸に野党勢力を結集していきたい考えで、野党再編の方向性をめぐって食い違いも生じ始めているようだ。

 

 終盤国会の最大焦点となっている安全保障関連2法案は、来週末にかけて大きなヤマ場を迎える。国会会期末をにらみ、与野党入り乱れた攻防や、水面下の駆け引きがより一層激しくなっていく見通しで、政局含みの緊迫した局面にも入るだろう。引き続き関連2法案採決をめぐる情勢に注意しながら、終盤国会の行方をみていくことが重要だろう。
 

【締めきられた各省庁の概算要求】

今週8月31日、財務省は、2016年度予算編成に向けた各省庁の概算要求を締め切った。7月24日の閣議で了解した来年度予算の概算要求基準では、政策経費のうち自由に使える裁量的経費を2015年度予算より1割減らす一方、4兆円規模の特別枠「新しい日本のための優先課題推進枠」を設けて、安倍内閣の重点施策に配分することが打ち出された。社会保障関係費は2015年度予算から約6700億円増を要求上限としたが、要求総額の上限設定は、デフレ脱却を確実にするねらいから3年連続で見送られることとなった。

 

各省庁が要求している一般会計の総額は、2015年度予算の要求総額(101.68兆円)を上回り、102.40兆円超となった。高齢化に伴う医療・年金・介護などの社会保障関係費(30.9兆円)に加え、国債の償還や利払いにあてる国債費(26.05兆円、2015年度当初予算比11.1%増)が膨らんでいる。

また、国債費を除いた政策経費の要求額も76兆円超と、今年度予算を約5%上回った。公共事業関係費6兆円(同16.1%増)、防衛省予算5.09兆円(同2.2%増)、外務省予算0.75兆円(同10.4%増)のほか、スポーツ庁発足やスポーツ関連予算などを盛り込んだ文部科学省予算(5.85兆円、同9.8%増)や、政府の事態対処能力・情報収集能力・サイバー攻撃への対応能力などの強化、セキュリティー対策などの費用を計上した内閣官房予算(0.13兆円)の要求額も増えた。一方、景気回復に伴って地方税収の伸びが見込まれることから、地方交付税額(16.42兆円、同2.0%減)は少ない見積もりとなった。

 安倍内閣が重視する政策に重点配分する優先課題推進枠は、約3.9兆円の上限に達したようだ。また、地方創生を目的に「地域再生戦略交付金」「地域再生基盤強化交付金」を再編して新たに創設する自治体向け新型交付金は、内閣府などが計1080億円を要求している。

 

 2016年度税制改正に向けた各省庁の要望も出揃った。このうち、法人税実効税率(国税+地方税)の引き下げは、2015~16年度で3.29%引き下げて31.33%とすることが決まっているが、経済産業省が法人税収の大幅な上振れなどを背景に「下げ幅のさらなる上乗せを図る」と、20%台の早期実現に向けてさらなる税率引き下げを求めている。経済産業省は、税収減分の確保よりも減税を優先する方針を打ち出しているが、財務省は恒久財源の確保を伴わない減税に慎重姿勢を示している。

また、政府は、地域活性化に取り組む自治体を財政面から後押しするねらいから、企業が地方創生関連の事業計画をまとめて国から認定を受けた自治体に寄付すれば、その一定割合を法人税(国税)・法人住民税(地方税)から差し引く「企業版ふるさと納税制度」の創設をめざしている。企業が自治体などに寄付した場合には寄付全額が損金として認められ課税されないことになっているが、新制度を導入することで、企業の積極的な寄付を促すとともに、自治体間で行政サービスの向上を競いあう環境を創出するとしている。東京など大都市に偏りがちの法人税収を地方に配分する観点から、東京都や特別区など財政力が高い自治体や、企業が本社を置く自治体への寄付は新制度の対象外とするようだ。

今後、与党の税制調査会を舞台に、税制改正をめぐる議論が本格化する。自民党と公明党は、政府との調整を踏まえ、今年12月には税制改正大綱を取りまとめる。与党間で懸案となっていた2017年4月の消費税率10%への引き上げを念頭に生活必需品などの消費税率を低く抑える軽減税率の導入をめぐっても、近く対象品目や代替財源の確保など制度案詳細を検討する与党協議を再開するという。

 

 

2016年度予算は、2020年度に地方分を含めた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化をめざす政府にとって、経済成長と財政再建の両立を前提とする財政健全化計画の初年度にあたる。政府は、歳出改革の徹底するため、経済財政諮問会議(議長:安倍総理)を軸に評価指標と工程表を今年末までに策定するとともに、経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に盛り込まれた改革の具体化・進展度合いを点検していく方針だ。

 財務省は、年末の予算案決定に向けて査定作業に入る。今年度と同水準までに抑えるべく厳しく査定する方針だが、世界経済の先行き不透明感・警戒感が増すとともに、来年夏には参議院選挙も控えているだけに、自民党内から「(災害対策やインフラ整備を進める国土強靱化施策などを念頭に)それなりの財政措置をしなければいけない」(二階総務会長)など、景気を下支えする経済対策・補正予算の編成や、来年度予算の増額などを求める声も出ており、秋以降の景気情勢次第では、例年以上に厳しい編成・予算折衝となりそうだ。

 

 

【農協改革関連法や女性活躍推進法が成立】

国会では、安倍総理が重要視する法案に動きがあった。「農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案」と「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」の採決が、8月28日の参議院本会議で行われ、与党などの賛成多数により可決・成立した。

 

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政府・与党は、全国農業協同組合中央会(JA全中)の中央会制度を廃止や地域農協の経営状態などを監査してきた監査・指導権限を撤廃し、法施行から3年半後にはJA全中を特別認可法人から一般社団法人に完全移行することなどを柱とする「農業協同組合法等の一部を改正する等の法律」を岩盤規制打破の象徴のひとつと位置付けて、国内農業の成長力強化を図るべく農業改革の実現に力を注いできた。改正法には、市町村の農地利用の認可事務などを行う農業委員会制度の見直しも盛り込まれ、委員の選出方法をこれまでの選挙・団体推薦から市町村長の任命制に変えることとなる。

与党は、維新の党と衆議院側で「農協に自主的な改革を促す」などの内容を盛り込む修正を加えることで大筋合意していたが、安全保障関連2法案をめぐる与野党攻防の煽りなどをうけ、同法案の成立がずれ込んでいた。同法案は、27日の参議院農林水産委員会、28日の参議院本会議で与党と維新の党の賛成多数により可決、成立することとなった。

 

女性の採用・昇進機会を増やす取り組み加速を促すため、従業員301人以上の大企業、国・地方自治体に、採用者や管理職に占める女性割合、勤続年数の男女差などを把握したうえで、自主判断で最低1項目の数値目標を盛り込んだ行動計画の作成・公表を義務化することを柱とする「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」をめぐっては、与党が衆議院側で、「実効性がない」との批判していた民主党の要求に応じて、企業に計画達成の努力義務も負わせるなどの修正を行った。

これにより、参議院でも与党と民主党などの賛成多数により可決、成立した。参議院内閣委員会では、衆議院と同様、「賃金の男女格差の把握と是正」「非正規労働者の待遇改善のためのガイドライン策定」などを求める付帯決議も行った。

 

安倍内閣は、女性活躍を成長戦略の核のひとつに掲げ、指導的地位に占める女性の割合を2020年度までに30%に引き上げることをめざしている。ただ、同法では、女性登用の数値目標を含めた行動計画の策定・公表を実施しない企業などに報告を求めることができるほか、虚偽報告には罰則も設けられているが、実施しない企業などに対する罰則規定がなく、企業の自主性を重んじて一律の数値目標も設けられていない。また、従業員300人以下の企業は、数値目標を盛り込んだ行動計画の作成・公表について努力義務にとどまっている。

政府は、同法施行にあわせて、「女性活躍の推進に関する基本方針」を閣議決定するとともに、行動計画の策定を支援するためのガイドラインも策定する。また、行動計画の内容・達成度などによって優良企業を認定し、国・自治体の公共事業や備品購入などで優遇できるようにもするようだ。今後、女性活躍を推進ため、社会全体の意識変革も含め、実効性をどのように確保し、どのような具体策を打ち出していくのかが焦点となりそうだ。

 

 日本年金機構の個人情報流出問題を受け、委員会採決が見送られていた「個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案」が、年金機構の情報管理体制などを懸念する民主党などの提案を受け、来年1月に予定していたマイナンバーと基礎年金番号の連結を最長2017年5月まで、年金機構がマイナンバーを使って情報を提供したり照会したりすることも最長2017年11月まで延期と修正された。同法案は、国民一人ひとりに12桁の個人番号を割りあてて税・社会保障関連情報を一つの番号で管理する共通番号(マイナンバー)制度の適用範囲を預貯金口座や年金分野、特定健康診査情報などにも広げることのほか、個人情報保護の観点から蓄積された膨大な個人情報をビッグデータとして活用する際の利活用環境の整備などが盛り込まれている。

与野党の修正合意を受け、27日の参議院内閣委員会、28日の参議院本会議で与党と民主党などの賛成多数で可決した。衆議院ではすでに審議・採決されているが、参議院側で修正が加えられたことから、3日の衆議院本会議で改めて採決され、成立する見通しだ。安倍総理は27日、サイバー攻撃による情報漏えいを防止するため、自治体の情報セキュリティー対策を講じるよう、高市総務大臣に指示した。総務省は、各自治体に既存の住民基本台帳システムとインターネット用端末を完全に分離するよう要請するなど、自治体の情報セキュリティー対策をマイナンバーの通知カード送付が始まる10月5日までに徹底するという。

 

 

【与党、安全保障関連法案採決の環境整備を急ぐ】

安全保障関連2法案(平和安全法制整備法案、国際平和支援法案)の採決日程をめぐる調整が大詰めを迎えている。与党側は「60日未満で結論を出すのが参議院のあるべき姿」(公明党の山口代表)と、9月11日までに関連2法案を採決させることをめざしてきた。

 しかし、特別委員会の審議がはかどっておらず、野党側との修正協議も始まったばかりだ。野党一部が出席できる環境を整えて採決を強行したとの批判をかわしたい与党は、28日、修正案を共同提出する方針の日本を元気にする会・新党改革・次世代の党との協議をスタートさせた。また、同日の特別委員会で維新の党が提出した対案5案の提案理由説明を聴取し審議入りしたことで、与党と維新の党は修正協議を再開した。

 

与党は野党各党と修正協議を続けているが、自民党の高村副総裁が「野党との差を埋めるのは難しい」と関連2法案の骨格の修正に慎重な考えを示すなど、修正合意に向けた糸口がつかめていないのが現状だ。

日本を元気にする会など野党3党は、自衛隊の海外派遣を例外なく国会の事前承認とすることや活動継続には90日ごとに国会の再承認をえることを義務づけるほか、自衛隊の海外活動を国会が常時監視・事後検証するための組織を国旗に設置することなどの修正を求めている。このうち、与党は「例外なき国会の事前承認」について、与党は「緊急時の事後承認の余地を残すべきだ」と難色を示している。その一方で、常時監視・事後検証のための組織を国会に設置することには前向きに検討する意向も伝えた。与党は、野党3党との協議に柔軟に応じる方針だが、修正合意となれば条文は変更せず付帯決議などで対応することを検討している。

 

 一方、維新の党との協議をめぐっては、維新の党が集団的自衛権行使の要件を厳格に定めているほか、自衛隊による米軍などへの後方支援活動の範囲を日本周辺に限定するよう求めていることについて、与党側は受け入れがたいとの認識を示している。

また、維新の党と修正合意したとしても、事実上の分裂状態に陥っている維新の党が一致して採決する保証がないことへの警戒感もある。安倍内閣に是々非々で臨む橋下最高顧問(大阪市長)と松井顧問(大阪府知事)が27日に維新の党を離党し、10月1日にも新党構想を正式発表する意向を明らかにする一方、野党再編を念頭に民主党との共闘姿勢を強めたい松野代表が、31日、民主党の岡田代表と会談して関連2法案の成立阻止に向けて、4日にも野党5党の党首会談を開催することを呼び掛けることでも合意したからだ。

 

民主党は「安全保障関連法案などでの政府・与党の対応によって、十分、党の対応として<内閣不信任決議案を提出する可能性が>出てくる」(安住国会対策委員長代理)と、通常国会会期末(9月27日)までに衆議院へ共同提出することも視野に入れており、野党5党の党首会談で、不信任決議案の共同提出も含めた野党共闘を確認するとみられている。維新の党は、松野代表らが民主党の提案に同調する可能性が高い一方、新党に参加する議員らが不信任決議案提出に慎重だ。党内の亀裂が深まれば、特別委員会での採決対応や決議案採決時に対応が分かれるのではないかとみられている。

なお、民主党と維新の党は、維新の党と衆議院に共同提出した「領域警備法案」の修正案を3日、維新の党と参議院へ再提出する。駆け付け警護や人道的な地雷除去などを可能とする「国連平和維持活動(PKO)協力法改正案」や、核兵器の輸送を事実上禁止する内容などを盛り込んだ「周辺事態法改正案」も共同提出を検討されていたが、維新の党は3日に単独で提出することとなった。

 

 与党は、維新の党が事実上の分裂状態となり、野党共闘に向けた動きも加速し始めたことで、維新の党との修正協議で合意することは困難と判断し、衆議院で可決した原案のまま採決に踏み切る方針を固めた。また、11日の特別委員会採決を断念し、14~18日の間に成立させるべく採決環境の整備を急ぐ。特別委員会での参考人質疑を8日に実施することとなり、与党は、採決の前提となる公聴会も来週中に開催したいようだ。

いまのところ参議院送付から60日経過しても関連法案が採決されない場合には衆議院本会議で3分の2以上の賛成により再可決できる「60日ルール」(憲法第59条)を適用しない方針で、16日の参議院特別委員会、17日の参議院本会議でそれぞれ採決する方向で調整している。ただ、民主党など野党が関連2法案の採決に反発して、徹底抗戦に入る可能性が高い。その場合、与党が参議院で採決を強行するか、18日までに衆議院で再可決に踏み切ることもありうるようだ。

 

 

【対決法案の採決をめぐる駆け引きに注意を】

与野党対決法案は、安全保障法制や労働者派遣法改正案などに絞られてきた。参議院での審議日程が窮屈になりつつあるなか、与野党による水面下の駆け引きが続いている。

派遣労働者の柔軟な働き方を認めることを目的に、企業の派遣受け入れ期間の最長3年という上限規制を撤廃(一部の専門業務を除く)する一方、派遣労働者一人ひとりの派遣期間の上限は原則3年に制限して、派遣会社に3年経過した後に派遣先での直接雇用の依頼や、新たな派遣先の提供などの雇用安定措置を義務づける「労働者派遣法改正案」は、同法案で施行日に定めている9月1日を迎えても成立しない異例事態となっている。同じ職務を行う労働者は正規・非正規にかかわらず同じ賃金を支払う「同一労働・同一賃金推進法案」も、労働者派遣法改正案とともに審議中だ。

 

与党は、3日の参議院厚生労働委員会理事会で、同法案の施行予定日を9月30日に修正することを提案する。

政府・与党は、2012年労働者派遣法改正に伴う「労働契約申し込みみなし制度」が10月1日からのスタートで、派遣期間の制限がない専門26業務で本来の業務と関係ない業務などをさせている派遣先の企業が、直接雇用を希望する派遣労働者を雇用しなければならなくなる事態を回避すべく派遣社員の契約を9月で打ち切る事態も想定されることから、10月1日前の施行にこだわっている。通常、周知期間として法律公布から施行までに半年程度を空けるが、労働者派遣法改正案では1カ月程度と異例のスピード施行となる見通しだ。

これに対し、「生涯派遣で低賃金の労働者が増える」「派遣の固定化、不安定化につながる」ことなどを理由に改正案の成立阻止をめざす民主党など野党側は、与党の要求に「周知期間が短すぎる」「廃案にして出し直すべき」などと強く反発している。

 

 通常国会の会期末まで残すところ1カ月弱となったが、早くも政局含みの様相を呈している。当面、安全保障法制や労働者派遣法改正案などの採決日程をめぐる攻防が激しくなっていくだろう。与野党それぞれの動きや発言などに注意を払いながら、終盤国会の行方を見極めていくことが大切だ。
 

【野党、内部資料作成問題について追及】  先週19日、参議院わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会での安全保障関連2法案(平和安全法制整備法案、国際平和支援法案)に関する一般質疑冒頭、中谷防衛大臣兼安全保障法制担当大臣は、共産党が指摘・追及した防衛省統合幕僚監部作成の内部向けの説明資料<日米防衛協力のための指針(ガイドライン)および平和安全法制関連法案について>の作成目的とその経緯について説明した。民主党や共産党、社民党などが、内部資料作成問題で政府側を追及した。

 *衆参両院の本会議や委員会での審議模様は、以下のページからご覧になれます。

衆議院インターネット審議中継参議院インターネット審議中継


中谷大臣は、同資料を「統合幕僚監部が日米防衛協力のための指針(ガイドライン)、平和安全法制関連法案について内容を丁寧に説明し、法案成立後に具体化すべき検討課題を整理し、主要部隊の指揮官などに理解してもらうことを目的に作成した資料」と、内部資料の存在と外部への流出を認めた。関連2法案が閣議決定された翌日(5月15日)、中谷大臣が防衛省幹部に関連2法案の内容について必要な分析・研究のうえ自衛隊内に周知するよう指示した。統合幕僚監部は、この指示を受け、内部向けの説明資料として作成し、月26日に開いた陸上自衛隊方面総監や自衛艦隊司令官ら主要部隊の指揮官ら約350人出席のテレビ会議で使用したという。  また、中谷大臣は、関連2法案の成立を前提に説明資料が作成されたのではないかと野党が指摘していることについて「作業スケジュールのイメージ化のため、仮の日程を置いて記述した。国会審議や成立時期を予断したものではない」と反論したうえで、「私の指示の範囲内のものであり、法案成立後に行うべき運用要領の策定や訓練の実施、関連規則などの制定は含まれておらず、シビリアン・コントロール(文民統制)上も問題はない」との認識を示した。そして、「秘密は含まれていないが、対外公表を前提としておらず、外部に流出したことは極めて遺憾」「流出の経緯などを鋭意調査している。強い危機感を持ち、情報保全の徹底を図りたい」と、文書取り扱い規則の徹底を指示し情報保全を強化していく考えを示した。
 安倍総理も、21日に開かれた参議院特別委員会の集中審議で「部隊運用を担当する統幕が法案の内容や政府の方針を分析・研究するのは当然だ。中谷防衛大臣の指示の下、その範囲内で資料が作成されたものであり、防衛政策局など法案担当部局とも調整のうえで作成された。問題があるとは全く考えていない」「法案内容や政府方針を現場の部隊指揮官に丁寧に説明し、今後、具体化すべき検討課題を整理すべく必要な分析や研究を行うことは当然のことだ」などと擁護し、シビリアン・コントロールは完遂されているとの認識を示した。  これに対し、同資料を提示して追及してきた共産党の小池副委員長らは、中谷大臣が今月11日の特別委員会で「国会審議中に法案の内容を先取りすることは控えるべき」と答弁していることや、通常国会の会期延長が決まる前に国会延長を予期して資料を作成されていることなどを挙げて批判するとともに、「自衛隊という実力組織をどう動かすかということを事前に検討している。国会軽視だ」「自衛隊幹部が勢ぞろいしている会議で、現在まで国会に示されていない内容も含めて詳細に報告されているのは極めて重大」などと反発した。
 資料内で自衛隊と米軍の平時からの協力措置として情報収集・警戒監視・偵察活動を例示して、その具体的項目に「南シナ海に対する関与のあり方について検討」と明記されていることについて、中谷大臣は「今後検討していくべき課題として記載したもの」と、南シナ海での日米共同の警戒監視活動を関連2法案成立後の検討対象に想定していることを認めた。小池副委員長は、南シナ海での日米共同の警戒監視活動について「新ガイドラインにも関連2法案にも書かれていない」として納得せず、河野統合幕僚長の証人喚問を要求した。  また、ガイドライン再改定を受けて、同資料で自衛隊と米軍の「軍軍間の調整所が設置される」と自衛隊を軍と明記されていることについても、政府側は「制服中心の組織を便宜的に表現している」(中谷大臣)、「あくまで便宜的表現で、問題があるとは考えていない」(安倍総理)と釈明したが、小池副委員長は「国民に向かっては軍じゃないといい、自衛隊の中では軍だと。こんなことが通用するのか」「軍を自認するに至った自衛隊がどんどん進めている。極めて重大な事態だ」などと批判した。 

【外交問題や戦後70年談話も議論】
 21日に参議院特別員会で、24日と25日に参議院予算委員会でそれぞれ安倍総理出席のもと集中審議が行われ、安全保障法制のほか、周辺国との外交問題や、今月14日に閣議決定・発表した戦後70年談話、
沖縄で起きた米軍ヘリコプター墜落事故などをめぐっても議論が行われた。

 また、「我が国を守るために必要な措置かどうかを問題にすべきで、法的安定性は関係ない」と発言し、その後の参考人招致で発言を撤回した礒崎総理補佐官について、民主党など野党は安倍総理に更迭を迫った。これに対し、安倍総理は「引き続き職務に当たってもらいたい」と、続投方針を改めて強調した。
 21日の集中審議では、民主党の蓮舫・代表代行が他国軍を後方支援できる重要影響事態がどんなケースかを質問した際、周辺事態において他国軍を後方支援できる事例をまとめた「野呂田6類型」(1999年)と、後方支援が他国の武力行使との一体化する基準を示した「大森4要素」(1997年)とを混同して、中谷大臣が「大森6事例」と答弁した。民主党の蓮舫・代表代行は、答弁の誤りを指摘して鴻池特別委員長(自民党)に議事停止を要求すると、安倍総理は「まあいいじゃないか。そういうことは」と自席からヤジを飛ばした。これに蓮舫・代表代行が「どうでもいいとはどういうことか」と抗議したため、質疑は一時中断する事態となった。  安倍総理は「本質とは関わりがないことだから申し上げた。どうでもいいとは言っていない」と反論したが、鴻池特別委員長から「自席での発言は控えていただきたい」と注意を受けると、「答弁の本質ではないので、答弁を続けさせてもらいたいという意味で申し上げたが、発言は撤回させていただく」と発言撤回に応じた。
 24日の集中審議で、安倍総理は「他国の領域で大規模な空爆や攻撃を行うことを目的に自衛隊を派遣するのは海外派兵で、武力行使の新3要件に反する」と、関連2法案が成立しても、朝鮮半島有事に日本が集団的自衛権を行使して北朝鮮や韓国の領域内で自衛隊が活動することは憲法上ありえないと、これまでの「武力行使の目的で武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣する海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるもので、憲法上許されない」との政府見解を、安倍内閣でも維持している姿勢を重ねて強調した。  そのうえで、朝鮮半島有事における集団的自衛権行使の事例として「わが国のミサイル防衛の一翼を担う米艦への攻撃であれば、新3要件に該当する可能性がある」と原則、公海上で弾道ミサイルを警戒する米艦の防護、公海上での後方支援などに限られるとした。また、集団的自衛権行使の前提となる「密接な関係にある他国(への攻撃)」には韓国も含まれるとし、「どの国であろうと、新3要件にあてはまるかを総合的に判断する」と説明した。
 朝鮮半島で軍事的緊張が高まったことや、周辺国との関係改善に不透明感が漂っていることなどを踏まえ、安倍総理は「現在の朝鮮半島、ロシア、中国の動向を考えると、安全保障環境はますます厳しさを増している。戦争、紛争を未然に防ぐため、日ごろから備えをしていくことが求められている」と関連2法案の必要性を強調するとともに、「安全保障法制と外交の両面で対応するのが責任ある姿勢だ」と訴えた。また、「偶発的に何が起こるか分からないなかで、しっかりとした備えをしていく必要がある。日米同盟が機能することは、北朝鮮の暴発や冒険主義的な試みを抑止するのに有効だ」(
25日の集中審議)ととも強調した。

 ロシアのメドベージェフ首相の北方領土・択捉島入りしたことについて、安倍総理は「北方四島に関する日本の立場と相いれず、日本国民の感情を傷つけるもので極めて遺憾」と批判したうえで、「我が国の国益にとって重要なのは、北方領土の帰属問題を解決し、平和条約を締結すること」として「今後ともプーチン露大統領との対話を継続しつつ、日本の国益に資するよう粘り強く交渉を進めていく」と、年内来日を引き続き模索していく考えを示唆した。
 日中関係について、安倍総理は、国会状況、とりわけ安全保障関連2法案の審議を優先させることなど判断し、9月上旬で検討していた訪中を見送ると表明した。そのうえで、習近平国家主席と中国による東シナ海のガス田開発や尖閣諸島周辺での領海侵犯などについても意見交換することを視野に、「引き続き国際会議などを利用して首脳同士が率直に話し合う機会を設け、関係のさらなる発展に向け取り組んでいきたい」と、9月下旬の国連総会や、11月にフィリピンでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などにあわせて日中首脳会談の実現をめざす考えを示した。  韓国とは「重要な隣国で、未来志向の日韓関係を構築すべくお互いに努力をしていきたい」とし、まずは「日中韓サミットの開催につなげ、日韓首脳会談につなげていきたい」との認識を示した。

 25日の集中審議では、民主党が、存立危機事態で集団的自衛権を行使する際、自衛隊員の安全確保策に関する規定が
、米軍などを後方支援する「米軍行動関連措置法改正案」に規定されていないことを指摘し、過去の答弁との整合性を追及した。中谷大臣は、当初、「安全確保に必要な措置は法案に明記されている」と答弁していたが、その後に法案に規定さえていないことを認めたうえで、「運用で安全を確保する」「必要な安全措置は、法案にもとづいて策定する指針に盛り込む」と軌道修正した。質問した民主党の福山参議院議員は「審議をやり直した方がいい」などと反発して審議が一時紛糾する事態となった。中谷大臣は「これからは、分かりやすく説明に努めたい」と釈明した。
 安倍総理は「安全確保の規定がないのは承知していた」と答弁し、同法案が自衛隊の支援活動を「合理的に必要と判断される限度を超えてはならない」と制限していることに言及し、「隊員の安全確保にも配慮する趣旨を含む」と強調した。

 戦後70年談話をめぐっては、民主党など野党が安倍総理本人の歴史認識などを質した。安倍総理は、先の大戦をめぐる日本の行為について、満州事変から太平洋戦争に至る経過のなかで「(懇談会)報告書にもある通り、中には侵略と評価される行為もあったと私も思っている」との認識を改めて示した。そのうえで、「先の大戦における痛切な反省と心からのおわびを表明した歴代内閣の認識は私の内閣でも揺るぎない」と強調した。  安倍総理は、戦後70年談話を総理大臣の私的諮問機関「21世紀構想懇談会」(座長:西室泰三・日本郵政社長)の「報告書を前提に談話を作成した」とし、「何を反省し、何を教訓として今後いかしていくかを明確にすることに力を置いた」と説明した。そのうえで、「談話全体が一つのメッセージになっている。一つひとつを切り取って議論するのは、より幅広い国民とメッセージを共有する観点から適切でない」「談話がすべてで、この中からくみ取ってほしい」と述べるとともに、米国・英国・豪州・フィリピン・インドネシアなど各国政府の反応も紹介して、「多数の国々から歓迎または評価するコメントが出されている」点を強調した。また、「平和は唱えるだけでは実現しない。積極的平和主義の考え方のもと、地域や世界の平和と安定の確保に、より一層積極的に貢献していくことが必要だ」とも述べた。

【対案提出で与野党が修正協議入りへ】
 安倍総理と関係閣僚出席のもとで行われている25日の集中審議を終えれば、参議院特別委員会での審議時間は約57時間と、約116時間審議した衆議院の半分程度となる。民主党など野党が攻勢を強めるなか、与党は、政府提出の関連2法案を野党提出の対案と並行審議していくとともに、野党と修正協議を重ねることで、早期に参議院の採決環境を整えたい考えだ。
 20日、維新の党は、存立危機事態の概念ではなく「武力攻撃危機事態」にのみ個別的自衛権を拡大して自衛隊の武力行使ができることとし、国民保護法の対象にすることを盛り込んだ「武力攻撃危機事態に対処するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」、自衛隊の活動範囲を非戦闘地域の公海とその上空に限定して国連決議なしには自衛隊派遣できないことなどを盛り込んだ「国際平和協力支援法案」のほか、在外邦人の救出規定や、米軍に対する武器弾薬以外の物品・役務提供の拡充、武器を不正使用した自衛官の処罰規定などをそれぞれ盛り込んだ自衛隊法等改正案の5法案を、関連2法案の対案として参議院に提出した。  自民党と公明党は、野党一部の協力を取り付けるべく、特別委員会で審議入り後にも衆議院側で中断していた維新の党との修正協議を再開させるとともに、今週中にも修正案を共同提案する方針の日本を元気にする会・次世代の党・新党改革とも修正協議入りする方針だ。ただ、維新の党の対案では、集団的自衛権行使の要件を厳格に定めているほか、自衛隊による米軍などへの後方支援活動の範囲を日本周辺に限定していることについて「特定の地域をあらかじめ排除することは困難」(中谷大臣)と、政府・与党側が受け入れ難い内容も含まれている。こうした隔たりもあるだけに、関連法案の修正で合意できるメドはいまのところ立っていない。
 維新の党がまとめた対案8本のうち、民主党と衆議院に共同提出した「領域警備法案」、駆け付け警護を可能とする「国連平和維持活動(PKO)協力法改正案」、民主党が要綱としてとりまとめた「周辺事態法改正案」について、維新の党は民主党と参議院に共同提出することをめざして協議を継続していく方針だ。  このうち、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態に対処するため、武装集団による不法行為が起きた場合に本土からの距離などの事情で対処に支障を生じかねない区域を「領域警備区域」として指定して、自衛隊が領域警備行動できるとした「領域警備法案」は、新たに国会の例外なき事前承認を義務づけるほか、領領域警備区域の指定要件を厳格化して指定期間を5年から1年に短縮するなど6項目を、新たに変更する。民主党と維新の党は、同法案を近く参議院に共同提出する方針だという。  ただ、残り2法案について合意できるメドが立っていないうえ、民主党内には政府提出の関連2法案の廃案を優先すべきとの慎重論もある。維新の党は、参議院に共同提出するか否かを近日中に明確にしてもらいたいと民主党に要求しており、早期合意ができなければ「単独で出すことも考えざるをえない」(今井政調会長)との構えをみせている。
 一方、日本を元気にする会と新党改革は19日、自衛隊の海外派遣は例外なく国会の事前承認とすることや活動継続には90日ごとに国会の再承認をえること義務づけるほか、自衛隊の海外活動を国会が常時監視・事後検証するための組織を国旗に設置することなどを盛り込んだ修正案を参議院に共同提出することで合意し、維新の党や次世代の党に共同提出を呼びかけた。次世代の党は、21日に開いた日本を元気にする会・新党改革との国対委員長会談で共同提出に加わることを決めた。一方、維新の党は、日本を元気にする会・新党改革の共同提出呼びかけには応じないことを決めた。  24日、3党は修正案を参議院に共同提出することで正式合意し、鴻池特別委員長に修正案の取り扱いに協力を要請した。鴻池特別委員長は「議論を通じてより良い方向に収めていきたいので、お出しいただくことは大歓迎だ」と、3党による修正案の共同提出を歓迎する考えを示した。3党は、修正案の提出時期について、与党との協議状況を踏まえつつ、改めて与野党に賛同を呼びかけたうえで今週中にも判断する方針でいる。
 ただ、安倍総理は「緊急時の事後承認を認めないと、我が国の平和と安全に支障をきたしたり、国際社会の期待に応えられないことが想定される」(21日特別委員会・集中審議での答弁)、「他国への武力攻撃が事前に察知されずに突発的に発生し、間を置かずに我が国の存立が脅かされることは否定できない」
「本当にやむを得ない場合は事後承認があり得るが、できる限り、原則として事前承認となるよう努力したい」(25日特別委員会・集中審議での答弁)と、例外なく事前承認を義務付けることに慎重な考えを示している。また、中谷大臣は、国会承認をえる際に政府が国会提出する対処基本方針について「我が方の手の内を明らかにするおそれがある場合には情報保全を図る」とし、具体的な作戦や部隊編成・展開状況の詳細などは「特定秘密保護法に該当し、特定秘密として指定されることはありえる」と、国会への詳細報告を避ける可能性も示唆した。

 与党は、野党との協議には積極的姿勢をみせているが、主張の隔たりもあるだけに、修正要求に応じるかどうかは慎重に検討していくようだ。このため、与野党の修正協議が進展をみるかは、いまのところ不透明だ。

【法案の絞り込み動向も注目を】
 通常国会後半の最大焦点となっている安全保障法制をめぐっては、参議院の特別委員会を舞台に連日質疑が行われている一方、与野党間の修正協議が近くスタートする見通しだ。自民党は、参議院送付から60日経過しても関連法案が採決されない場合には衆議院本会議で3分の2以上の賛成により再可決することが可能となる「60日ルール」(憲法第59条)の適用を視野にいれていないことを強調しているが、9月14日以降には60日ルールが適用可能となるだけに、9月前半には大詰めを迎えるとみられている。自民党は、21日の特別委員会理事懇談会で、28日に参考人質疑を行うことを提案したが、野党側は回答を避けたため、引き続き協議することとなった。
 このほか、国会では、女性の採用・昇進機会を増やす取り組み加速を促すため、従業員301人以上の大企業、国・地方自治体に、採用者や管理職に占める女性割合、勤続年数の男女差などを把握したうえで、自主判断で最低1項目の数値目標を盛り込んだ行動計画の作成・公表を義務化することを柱とする「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」は、28日にも参議院本会議で可決・成立する見通しとなっている。安倍内閣は、指導的地位に占める女性の割合を2020年度までに30%に引き上げることを目標としており、同法成立後、女性登用を促進するための具体策が問われることになりそうだ。  派遣労働者の柔軟な働き方を認めることを目的に、企業の派遣受け入れ期間の最長3年という上限規制を撤廃(一部の専門業務を除く)する一方、派遣労働者一人ひとりの派遣期間の上限は原則3年に制限して、派遣会社に3年経過した後に派遣先での直接雇用の依頼や、新たな派遣先の提供などの雇用安定措置を義務づける「労働者派遣法改正案」は、同じ職務を行う労働者は正規・非正規にかかわらず同じ賃金を支払う「同一労働・同一賃金推進法案」とともに、参議院厚生労働委員会でいまだ審議が続いている。通常国会中の成立は確実とみられているが、民主党など野党が廃案を求めて抵抗しているほか、日本年金機構の個人情報流出問題の影響などもあって、委員会採決のメドがついていないようだ。
 一方、柔軟な働き方を広げて労働生産性を高めるねらいから高度プロフェッショナル制度創設や企画業務型裁量労働制の対象を新商品開発・立案や課題解決型営業などへの拡大、年5日の有給休暇の取得ができるよう企業に義務づける過労対策などを柱とする「労働基準法等の一部を改正する法律案」などの会期内成立を、すでに断念している。  また、自民党は、日本維新の会・生活の党とともに共同提出した、カジノ解禁を含む統合型リゾート(IR)の整備を促す「特定複合観光施設区域整備推進法案」(カジノ推進法案)も通常国会中の成立を断念する方針を固めた。会期の大幅延長を受け、推進派は「経済成長や雇用、観光振興の面で必要不可欠」(推進議員連盟会長の細田自民党幹事長代行)と、通常国会中の成立に強い意欲をみせていた。維新の党も早期審議入りを自民党に要請した。しかし、公明党や民主党などはギャンブル依存症への懸念や、マネーロンダリングなどの犯罪対策が不十分などを理由にカジノ解禁に慎重な姿勢を崩さず、審議入りにも応じない姿勢をとってきた。安全保障関連2法案の成立時期が見通せない状態が続くなか、賛否の分かれるカジノ推進法案の審議入りを強行すれば、安全保障関連2法案の審議にも影響しかねないとして、臨時国会以降への先送りもやむをえないと判断したようだ。これにより、2020年の東京オリンピック・パラリンピックにあわせて完成させる考えだったが、間に合わない可能性が高くなっている。
 通常国会の会期末(9月27日)まで残り1カ月となった。与党内では、通常国会中に審議する法案の絞り込み作業が進められている。重要法案はじめ各法案のうち、どの法案を審議入りのうえ成立させ、どの法案を先送りとするのだろうか。安全保障関連2法案の審議や与野党の水面下での攻防に注意を払いつつ、与党が各法案の扱いをどう決めるのかもチェックしておきたい。
 

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